『恐怖の墓所』探検記

  久しぶりの更新ですよー。
 友達と遊んでいるD&D4thのキャンペーンの話を書きます。
 ……実は去年書きかけたまま忘れて放置していたのは秘密。
 
 シナリオは『恐怖の墓所』というですね、AD&Dのモジュールとして発売された、ゲイリー・ガイギャックス作の悪名高い名作の誉れ高いモジュールの、4th版の続編となります。
 かつての『恐怖の墓所』といえば、「とにかく簡単にPCが死ぬ」「ひどい罠がたくさんあって簡単にPCとか死ぬ」「モンスターがPCとか殺す」といった評判であり、特に罠の苛烈さは有名。
「4th対応なんで割とバランスとれてますよー」とDMは言うものの、はてさてどうなるか……。
 
 最初のモジュールに挑むプレイヤーはふたり。
 『ダンジョンマスターズガイド』には「おうD&Dは4人以上でやって役割揃えろや」と書いてありますが、われわれは数々のモジュールやデルヴを2〜3人でくぐりぬけてきており、少人数進行にはなれております。
 特にこの4th版の『恐怖の墓所』は対応レベルが高く、PCふたりでも対応しやすいべ、とやる気まんまんで挑みます。
 なお、『恐怖の墓所』は全4モジュール(モジュールひとつごとに大きめのダンジョン、みたいなイメージ)から構成されておりまして、それぞれがレベル10〜11、14〜15、18〜19、22〜23に対応しております。

 ちなみに、もちろん元のデータそのまま(5人用)にふたりで挑戦するのは無理ゲーなので、心優しいDMが、
・敵のHPは2/5(つまり40%)になる
・達成値に+5できるチップをひとり1枚持つ(獲得/回復条件はAPと同じ)
 というハウスルールで調整しております。

 そんなこんなのふたりパーティ。
 PCひとりめは山羊さんのファイター、パタ(←名前)。
 なんと旧バージョンの『恐怖の墓所』(3.5用のリメイク)に挑戦し、最後の最後でクリアならずだった……という因縁のあるキャラクター。名前やクラス、設定をそのままに4th対応に生まれ変わってリベンジを誓います。
 “巨人の蛮力”スタイルで両手持ちハンマーを構えて突撃する脳筋ファイター、10レベル。
 
 PCふたりめはわたくしのドワーフ、センティネル(エッセンシャル版のドルイド)で、名前はゴールドマン。
 別にAV監督とも投資銀行とも関係なく、ペットに熊を連れているので金太郎→ゴールドマンというネーミング。
 ちょうど『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズ』を買ったばかりで、センティネルやってみたかったこと、少人数プレイにはペット持ちの指揮役(ヒーラー)であるセンティネルはぴったり、と判断してのチョイス。
 
 そんなふたりで、アンデッド蠢く恐怖の墓所での冒険に赴くのでした……。
 てことで、以降、『恐怖の墓所』の第一モジュールのネタバレにあたる記述がありますので、ご注意ください。

俺たちならふたりで楽勝でしょ(てのひらを突き出しつつ

 さて、色々あってダンジョンに突入したわれわれふたり。
 さすがにD&D4thのプレイ経験も多く、最初の遭遇はかる〜くクリア。
「お、さすが俺たちのキャラつよーい」
「センティネルいけるやん。やっぱペットクラスは少人数にええな!」
 といった、お気楽な会話を交わしつつ、ホラーテイストのダンジョンを進んでいきます。
 そこかしこに、旧『恐怖の墓所』を忍ばせる描写や演出が入り、実によいムード。次々と遭遇をクリアしていきます。
 
 ――が、しかし。
 ダンジョンの奥で入った部屋には中ボス&手下たくさん。
 魔法使いがおらず、範囲攻撃の乏しい我々には辛い相手。
 ヤバそうになったら退却しよう……と言ったはいいが、イニシアチブロール不発からあっさりと囲まれ、ボコボコに殴られるわれわれ。
 乏しい範囲攻撃でなんとか雑魚を片付けたところでヒールも尽き、ゴールドマンが気絶(瀕死)。
 パタは「戦闘終わったら手当すっから!」と叫んで中ボスとタイマン。
 激戦の末、「勝った、勝ったよゴールドマン!」と叫んだパタが見たものは、中ボスが周囲に撒き散らすオーラのダメージを受け続けた結果、瀕死から完全死亡状態に突入していたゴールドマンの死体でした……。
 
「やはりPCふたりは大変だな」
 クルッとてのひらを返しつつ、わたくしは、ペットが狼のバージョン(ペットは熊か狼から選ぶ)のセンティネルを作っていたので(どちらを使うかギリギリまで迷っていた)、そのままPC交代して続投。
 名前……名前どうしようか、じゃあゴールドマンの弟で、シルバーマンで。
 
 ダンジョンで仲間を失ったパタの前にあらわれた、狼を連れたドワーフ
「私はシルバーマン、兄を捜して旅を……兄貴ーッ! 許せんぞダンジョン、復讐のために仲間になる!」
 一呼吸で合流し、パタとシルバーマンのふたりによるダンジョン探索が続く……。
 
 と思いきや、次の遭遇でアンデッドの群れに囲まれ、シルバーマン、死亡。パタ、死亡。
 普通に全滅。
 

おいどうすんだこの敵、俺たちの能力だと絶対勝てないぞ!(熱いてのひら返し

D&Dの少人数パーティには慣れている発言とはなんだったのか……」
「あ、ちなみにこの遭遇は退却するとクリアできないんでなんとかしてください^^;」
 
 アンデッドの群れを倒すには、弱点である光輝属性の攻撃が必要だ。
クレリッククレリックを作る。誰か『プレイヤーズハンドブック』貸して」
「『武勇の書II』しか持ってきてませんので自分はまたファイター作りますね」
「あれ」
 
 ルールブックがなくてクレリックが作れない時空発生。
 他にキャラ作成のできる本は、俺の手元にある『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズ』だけ。
「光輝……光輝パワー持ちはいないか……」(めくる)
「一応、キャバルリー(エッセンシャル版パラディン)がいますね。こいつは回復手段持ってないですが」
「……回復はあきらめるしかない。奴らを倒すには、光の力が必要だ……この遭遇さえクリアすればなんとかなる!」
 
 かくして、時間がないので装備や特技をほぼ移植したドワーフパラディン、カッパーマンが誕生。
 山羊さんもパタの装備や特技を踏襲しつつ「やあ、別キャラでいいってことなら、種族も人間じゃなくてハーフオークにします」と最適化された突撃ファイターを作成。
 新たなふたりパーティの誕生である。
 
 ファイターとパラディン、共に防衛役であり能力まるかぶり。回復も範囲攻撃もない。
 だがアンデッドを滅ぼすために生まれたドワーフ、それがカッパーマン
 ていうかこの遭遇に勝つためだけにパワーを選んだので体がすごく光りアンデッドに強い、強いぞカッパーマン
 勝ちました。
 

第三の戦士(そのままの意味で)

 戦闘を終え、座り込んで体力を回復する防衛役ふたり組。もうなんかMMOでヒーラーがいないパーティみたい。
 だがしかし、我々には希望があった。
 リアル時間経過により、仕事を終えた三人目のプレイヤーが合流することになったのだ!
 
 颯爽と現われた仕事帰りの黒野
 そして彼のPCは待望のクレリック
「じゃなくてへクスブレードじゃねえかあああああ!」
「だって指揮役にセンティネルがいるんでしょ?」
「あいつは死んだ」
「ゲエエエエエ」
 
 へクスブレードは魔法の剣を生み出して戦うウォーロックのバリアント。撃破役。
 そりゃ俺と山羊さんが防衛役と指揮役やるんだからそうなるわな。
 戦士、光の戦士、魔法戦士、みたいなパーティになりました。
 
 そして迎える、モジュールでの最終戦闘。
 ヒールはない。全員できるのは殴ることのみ。回復手段はポーションだけ。
 
「あ、敵はアンデッド、弱点は光輝です」
「俺はアンデッドを滅ぼすためだけに生まれた男、カッパーマン!」
 勝ちました。
 
 正直全員前衛(へクスブレードは一応遠距離攻撃もできるけど)の戦闘は大変だった……!!
 ヒールがないので倒れた仲間の口に無理矢理ポーション突っ込んで回復されたり、グダグダになりつつもなんとか勝利。
 

復活、ゴールドマン

 かくして第一モジュールをクリアしたわれわれ。
 パタとシルバーマンとゴールドマンの死体も回収し、街で蘇生します。
 三兄弟はやっと出会えたのだ。よかったよかった。
 が――。
「考えてみればタイトルが『恐怖の墓所』なんだからアンデッド対策は必須だよな」
「光輝属性攻撃ができ、非実体に対策でき、範囲攻撃ができるキャラが必要だ」
「あとパタが脳筋で、知識判定も知覚もできないのでなんとかしなければならない」
「様々な技能判定に対応できるユーティリティがあるといい」
 ということで、新PCを作成することに。さらばゴールドマン。
 多様な要望をひとりで満たすため、サプリメントをひっくり返してクラスを検討。
 結果、ヒールと豊富な範囲攻撃を持ち、知力と判断力が高くて知識判定にも強い――『エベロン・プレイヤーズ・ガイド』収録の秘術系指揮役、アーティフィサーをチョイス。光輝攻撃は属性付与する装具でカバーすることに。
 種族は、優れた能力値、失敗をリカバーしやすい種族パワー、そして死霊抵抗(!)を備えたデーヴァ。前世の記憶を持って転生を繰り返す、リーインカーネーション生命体だ。チャームポイントは白目しかない目。
 ……ん? 転生?
 
 街へ戻り、仲間たちを蘇生させるパタとカッパーマン
 先にシルバーマンが復帰し、兄弟ふたりは長兄の復活を待つ。
 蘇生呪文が囁かれ、死したゴールドマンの目が開かれると――その目は真っ白で、その身体は神々しい輝きを放ち始める!
「我が名はゴールドマン。転生を繰り返し邪悪と戦う戦士。具体的には死霊抵抗を持ち光輝ダメージを与えるなり!」
「「うわああああ兄貴が復活したら別の種族になってるううううううう!!」」
 
 そんなわけで、前世の記憶を持って蘇ったゴールドマンとパタたちの冒険はまだ続くのであった……。
 
 
 ――こんな調子で、死んだり死にそうになったり、ヒィヒィ言いながら冒険を続けております。
 次々とモジュールもクリアし、PCたちもなんと神話級(22レベル)の冒険者に!
 参加者のスケジュール調整(主に俺……4月に新刊出すのでよろしくおねがいします!)に難航しつつ、最終モジュールに挑んでおります。
 進むごとに正体を現わす敵、駆け巡る次元界に広がる邪悪な風景、敵も味方も入り乱れ、ついに戦いは神の領域へ……!
 
 『恐怖の墓所』は、罠やモンスターの数々だけでなく、積み重なるストーリー、そして情景や怪物の描写が非常にエキサイティングな良キャンペーンであります。皆様もぜひ!

恐怖の墓所 (ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版 10~22レベル・キャラクター用アドベンチャー)

恐怖の墓所 (ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版 10~22レベル・キャラクター用アドベンチャー)