昔のシナリオの話「Devil's Island」

 「Devil's Island」は99年〜00年くらいに作ったシナリオで、『TNR』版『GX』に出てくる、G.C.I.の研究所島、サーガSATANNを攻略するアクト。
 キャストはサーガSATANNを襲撃し、新型IANUSのデータを強奪を狙うチームの一員になります。推奨スタイルはなく、「まあ全員でバランス取りなよ」系*1。難攻不落の研究所を、プロフェッショナルのチームが突貫&抽出ミッションで攻略する、というシンプルな筋立てのシナリオです。
 で、味方、敵合わせて13人くらいのゲストが出てくる。その後、『RR』での「In The BOX」*2、『TND』での「Raining Chrome*3に続く、“キャストの2〜3倍ゲストが出てくるシナリオ”の、最初のやつです。


導入

 ぶっちゃけアレです。火浦功『高飛びレイク』の長編版*4。どういうのかっていうと、クロマクが、キャストひとりひとりを襲撃や冤罪や誘拐で集めてくるというもの。
 覚えてる限りだと、

  • 飛行機に乗ってると《電脳神》でそのまま誘拐
  • 《制裁》でニセ警官に連行される*5
  • 家の前にチャクラ◎が立っていていきなり殴りかかってくる*6

 こんな感じで、強引にスカウトされて、サーガSATANN襲撃チームのメンバーとして集められる、というところからスタート。

展開:前半

 様々な手段でゴーストEYEランドに集められたキャストは、いかにも偽名っぽい北米系のクロマク◎から、サーガSATANN襲撃計画への参加を求められる。id:Kurono42のキャストが、OPの襲撃で腰砕かれて*7、リサーチ最初のミーティングシーンでベッドに横たわってたのを覚えてる。


 襲撃チームのゲストは、クロマク◎、カブト◎、ニューロ◎の黒服3人組と、キャストより先に雇われたチャクラ◎の荒事屋。+キャスト4人の8人チーム*8

  • クロマク◎:通称“大佐”。元北米軍人でP&Eのプロ。かつてサーガSATANNに挑戦して失敗している。もろ『高飛びレイク』そのまんま。
  • カブト◎:その護衛。夏系の青年。
  • ニューロ◎:ハッキング担当、夏系の青年。。サーガSATANNのいかつさを見せるためにリサーチ最初のシーンで逆ハック食らって死亡。
  • チャクラ◎:フリーランス。ヴィル・ヌーヴ系。リサーチで吸血鬼だとわかる。


 リサーチは、サーガSATANNの警備状況や、そこにいるゲスト。そしてもちろん依頼人や仲間ゲストの裏を取っていく前半と、潜入ルートを決定して突入する後半に分かれる。
 味方を含め、神業つきゲストは確か13人。データつきが12人かな。

  • 襲撃チームゲスト:4人
  • サーガSATANNの警備:8人

 あとは研究者の華蝶朱鷺子(データなし)と、実験体のアヤカシ◎。このアヤカシ◎が新型IANUSの素体。

展開:後半

 警備ゲスト全員と戦うともちろん勝てないんだけど、侵入ルートで会うゲストが変わったり、回避することで会わずに済んだりする。隠密判定に成功すると即死系神業が3個減る、とかそういう世界。
 基本的には味方ゲストとは別行動で、2チームに分かれて、キャストチームは発電所を潰して島内のセキュリティを無効化するのが目的。
 航空機でレーダーをかわしながら突入したり、変装と偽造IDで潜入したりしつつ、複数回の戦闘をくぐりぬけて、発電所を潰し、研究ブロックに突入するとクライマックス。例によってクライマックス直前の戦闘が超厳しい。と、そんな流れ。

結末

 警備のゲストを片づけたところでクライマックスなんですが、襲撃チームのリーダーは、実はカブト◎で、クロマク◎の大佐はその《腹心》。

 カブト◎の夏系青年の正体は黄紫星/シーシン・グェン。新型IANUSが目的だというのも嘘で、目的は、アヤカシ◎の女の子の超常能力を封じ込めるためのアンチ・アストラル装置。夏がクリルタイに侵攻するためにこいつを入手したい、という筋書きでした*9
 一応、紫星の正体はリサーチで調べることが可能ではあるんだけど、神業で隠されてるのと、“大佐”がカモフラージュになってるので事実上不可能だった*10。んで、クライマックスのイベント(華蝶さんの《買収》)で正体と目的がキャストにもわかる、と。


 ちなみにチャクラ◎のフリーランスは、実験体のアヤカシ◎の兄で、個人的に妹を取り返すためにチームに潜入してる。もちろん妹はひどい実験受けてる。


 ここでアヤカシ兄妹 vs 紫星+大佐の構図になって、キャストに「どうする?」って話になる。放置するとアヤカシ兄妹が負ける。アヤカシ兄妹に肩入れすると、妹のほうが《ファイト!》使ってくれる、と。そんな感じのシチュエーションでありました。


 まあ放置したり紫星に協力しても、結局紫星はキャストの口封じをしようとする(そりゃそうだよな!)ので、そこがクライマックスになる、というお話。
 荒事チームが研究所を襲撃するという単純な筋立てに、チームそれぞれが隠された目的を持っている、というところで複雑な展開に仕立てる感じのアクトでした。

あれこれ

 思い出深い展開とか。

1回目

 なぜかチームに千早のクグツがいたので*11、《電脳神》で偽の社命を渡すという導入にした。キーもクグツだし、こいつは紫星側につくだろうと思ったら、プレイヤーが、「かわいそうな実験体」を見た瞬間に素で怒り出して秒で裏切り。「プロだから情には流されないぜ」と言ってた他のキャストが動揺。当時フェイトのたしなみだった〈シャーロック・ホームズ〉で、「あ、この皇帝候補(当時)、俺たちの口封じしそう!」と気づいたので紫星と戦闘になった。めでたしめでたし。

2回目か3回目

 プロ意識が強いキャスト達、アヤカシ妹をスルーした結果、神業で紫星に勝てなくなって全員で脱出を試みるも、逃げ遅れた夏瀬のカタナがペルセウスのArガスブレードで両断されて死亡。席順の関係で先に逃げたMS-4くん(カブト)が、「お、俺がいれば……!」と悔やんでいたのが印象深い。夏瀬は死んだことはかなりトラウマのようだけど、なぜか黄紫星は大好きで、Arガスブレードに憎悪を抱いているのが謎*12


 あとは、マンチ先生のヘルボーイ生命体・ガンテツが、激戦の中ではしたなく成長を遂げてしまってその後引退気味になったこととか、id:Hellbabyパパの受けカブト、ドクター・エリクサーが固くてむかついたのでサイバー化した四肢を斬裁剣で地道に壊していったこととかが印象深いですね。

ゲストがいっぱい系

 ゲストがいっぱいいて「全員と戦うと死んじゃうよ」な展開は好きで、複数勢力*13出てくるシナリオだと、たいていどっちかは戦闘を避けるか互いをぶつけないとダメなシナリオにしてた*14。難点は作る手間とプレイ時間がやっぱり多めになるところかな。また作りたいんですけどねー。


 次回は、『RR』期のシナリオで、『TND』にもコンバートした「In The BOX」の話を書こうと思います。GFの連載で軽くネタにしたことがあるんですが、キャストのモチベーション、についてアレコレ考えていた時期の話。

*1:ホント多いな。SR3rdが翻訳されなかったので、SRぽいのもN◎VAでやっちゃおうぜ的な発想があったのかも

*2:突貫抽出組vs護衛組にキャストが別れるシナリオ

*3:「ふりむけば死」オマージュなストリートの復讐劇

*4:最近ソノラマからノベルズで長編/短編を全部一冊にまとめた『高飛びレイク【全】』が出たのでおすすめ!

*5:これは『レイク』そのまんま

*6:OPでカット進行

*7:肉体戦ダメージチャート17番

*8:大人数のチーム、ってあたりがちょっとワクワクするなぁ、と

*9:俺のオリジナルシナリオの話なので公式設定とは全然関係ないです、念のため

*10:これから襲撃だってのにそこで神業使わないよね

*11:なぜだか思い出せない。《忠誠》が欲しかったとか? 『R』の忠誠強かったからなぁ

*12:GF誌の連載で、『TND』版のデータが追加された時に暴れていた

*13:日本軍と浄化派とか

*14:MS-4くんの牛さんが死んだ「It's a small world」もそんなんだった気がする