ダブルクロス・オリジン再読祭り(2)


さて、2巻。
2巻読み終わった時の最初の感想は「1巻よりさらに面白い」でした。
1巻は本当によくできたリプレイだと思った。実際周囲でもパパ(id:Hellbaby)やらBlueさん(id:blue_jmn)やら、ウルサ方*1が絶賛してたし。2巻で同クラスのシナリオネタを入れるのは難しいだろう、と思ってたりもした。
甘かった。
前回のテーマを引き継ぎ、そして広げ、さらに前より面白いものが出てきたよ。すごいよ。


GMとして一番感心したのが、1巻とほぼ同じシチュエーション設定を、これほど違った切り口で見せることができるのかー、ってこと。「同じシチュエーション」というものを、流されたのでも縛られたのでもなく、技術として使いこなしている*2。そういう意味での、2巻のシナリオメイクは出色の出来だと思う。


「同じことをする」っていうのは、大切なことなんだと思うんですよ。
だってさ、すごく表現したいネタっていうのがあるわけじゃないですか。で、そいつをさ、一回シナリオで使ったらもう同じメンツでできない、とかって困るじゃないですか。


僕の知っている、何人かのゲームマスターは、「同じことを」をやることを避けるために、シナリオ作成に意識的・無意識的に制限をかけていると思う。前に作ったのと同じシナリオになったら嫌だ、と思って、シナリオを複雑化させたり、あるいはシナリオネタが浮かんでも完成させられなかったりする*3


オリジンの場合、キャンペーンである、ということも使って、わざと同じシチュエーションを違う切り口で見せてる。
で、それが、すごく、上手い。
ダブルクロスというシステムで、もっともやりたいことの一つを、堂々と繰り返し、それが単に面白いだけでなくて、繰り返すことに意味がある、というところにまで持っていくその手腕!
PCの立ち位置の変化や、その狙いについては後書きできっちり解説されているんで、買ってそれを読んで欲しいんだけど、前巻とで、レギュラーコンビとゲストコンビの位置がそっくり入れ替わっているのは見事としか言いようがない。これは新キャラのイサム、聖音の造形もいいんだよねぇ。
まるで同じ構図の日常描写が、立場を違えて見ることでより深い印象を与えてくれる。


そして、後半の緊迫感。1巻の時も言ったし、「シリーズ全体を通して」って言うからには3巻も4巻もそうなんだけど、でも何回でも言う。矢野は危機感の演出がすごく上手い。
2巻後半の閉塞感、緊張感。そしてヒントの出し方と、正解に辿り着くまでのPLの動き。
悩みや焦燥まで含めて、本当に面白い、TRPGのセッションを描いたリプレイだと思う。
しのさんはホントいいよねぇ。ホントいいよ。


そして、「同じ物語」だからこその、結末の違いもまた感慨深い。
……とか言ってたら4巻、で! あんな風に使われるとは! 憎い、矢野のGM力の高さが憎い……っ!!


そして、さらに2巻で好きなところ。
ボスの造形と演出。いい、いいよ。こういうの大好き。プロっぽくてさあ!
だってプロとか好き! N◎VAとか好きですし!


あとは、各話サブタイトルと、その解説。
こういうのすごく好き。
特に2話目のサブタイトル解説はね。もうこれだけで泣ける。


そんなわけで、2巻の話はここまで!
もし、まだ読んでない人がいたら、すごくうらやましい。1巻と続けて読んだ時の面白さはまた格別です。

*1:だよねw

*2:これは4巻でまた確認できるんだけど、それはまた後で

*3:身内でいえば、前者はパパ、後者は俺とかBlueさん