昔のシナリオの話「Devil's Island」
「Devil's Island」は99年〜00年くらいに作ったシナリオで、『TNR』版『GX』に出てくる、G.C.I.の研究所島、サーガSATANNを攻略するアクト。
キャストはサーガSATANNを襲撃し、新型IANUSのデータを強奪を狙うチームの一員になります。推奨スタイルはなく、「まあ全員でバランス取りなよ」系*1。難攻不落の研究所を、プロフェッショナルのチームが突貫&抽出ミッションで攻略する、というシンプルな筋立てのシナリオです。
で、味方、敵合わせて13人くらいのゲストが出てくる。その後、『RR』での「In The BOX」*2、『TND』での「Raining Chrome」*3に続く、“キャストの2〜3倍ゲストが出てくるシナリオ”の、最初のやつです。
*1:ホント多いな。SR3rdが翻訳されなかったので、SRぽいのもN◎VAでやっちゃおうぜ的な発想があったのかも
*2:突貫抽出組vs護衛組にキャストが別れるシナリオ
*3:「ふりむけば死」オマージュなストリートの復讐劇
昔のシナリオの話「グッド・ビズ」
昔のシナリオの話、その2です。
「グッド・ビズ」は『TNR』時代、『GX』前に作ったシナリオ。だから99年前半あたりかな。もう10年近く前なのですねぇ。
「バード・ケイジ」成功体験から、「バッドエンドになるけどPLがGMのせいだと思わないシナリオ」を作ろうと思ったのが発端*1。
というわけで、シナリオ中に“ひっかけ”を入れ込んだ「グッド・ビズ」、確か全部で6〜7回やって、最後の一回だけがグッドエンド、それ以外は全部バッドエンドかな。
最後の一回も、ひっかけにはかかっているので、まあ成功率100%のトラップ、つうか、トラップってほどのものでもなくて、「相手が約束を守らない」ってだけの話です。
シャドウラン第4版「龍の契約者」
シャドウラン第4版の日本語版で書いた自作シナリオの話。
R&R記載のシナリオをプレイし、「よし、じゃあもっとコテコテに戦闘しよう!」と思って作ったモノ。メンツを変えて2回プレイ。んでまあ、色々ルールや設定の間違いも見つかったし*1、『ストリート・マジック』も翻訳されて、新しいシナリオ作りたいから、内容を公開してしまおうと思った次第。まあ全部貼ると長いから多少省略しつつ*2。
セッショントレーラー
4:00PM,10,Aug,2070
「アンタ、マジでツイてるぜ」
“とんまのジャック(ダミー・ジャック)”、フィクサー、満面の笑み。
「こんなに金払いのいい依頼人は初めてだ!」明々白々なトラブルのサイン。
Port of Seattle,5:00PM,10,Aug,2070
依頼人に指定された会見場所=港に停泊中の豪華客船、個人所有、五香粉(ウーシャンフェン)と魔法(ウィズ)の匂い。
5:10PM,10,Aug,2070
「ジョンソン、と名乗るのでしたかな、こちらの流儀では」
ドワーフ=初老/香主風のゆったりした外衣/長い白髪=オールバック。
大きな黒目──爬虫類を連想/痩身/異様に血色のよい肌。
左手中指薬指小指欠損──他の7指にオリハルコンの指輪。
2人の護衛、トロールとヒューマン。
トロール=男性/カンフー服/背中に巨大な弓/非生物的なほどに良い姿勢。
ヒューマン=女性/全身が非偽装型サイバーリム/肩からSMG/足元にバリスティック・シールド
5:15PM,10,Aug,2070
「依頼というのはこの娘に関わるものです」
三重のマナ障壁の中心に東洋人の少女。
10代後半/目を閉じ、昏睡/仕立ての良い中国服。
「私の娘です」
「娘は儀式魔術による呪いを受けています。術者は娘の毛髪を持ち、それを媒介に魔術を行なっています。それを取り戻して頂きたい」
「土地勘のない我々には探し出すのが困難なのです」
沈痛な表情。いますぐトリデオに出演できそうな完成度。
5:20PM,10,Aug,2070
「手助けとしてこの犬をお貸しします。こいつには、娘の体臭を覚え込ませています」
賢そうな中国犬。鳴き声ひとつ、“ウォン”──資本主義の象徴。
昔のシナリオの話「バード・ケイジ」
今でこそ「俺は日本で一番RLがうまい」などと豪語しているわたくしですが(役柄的には「この日本一のRLである俺を一撃で……っ!?」とかOPで言ってるタイプ)、昔は、ほぼPL専門でした。
最初に自作シナリオで、「これはうまくいった!」と思ったのは、確か大学生の時なんで、ハタチくらいですね。GMとしては遅咲きだったわたくしです。
それが、シャドウラン第2版のシナリオ「バードケイジ」です。
発想
当時、回りのシャドウランコミュニティは、「プロっぽさ」が重視され気味で、リサーチ、特にGMの「想定外」を探してイニシアチブを握る調査と、NPCとの交渉がメインで……ぶっちゃけ、戦闘がなかった! コンベンションはおろか、誰かの家でプレイしてても、戦闘に入る前に時間切れになるパターンが非常に多かったのです。もちろん、それはそれで楽しかったのですが、俺は戦闘がしたかった。
そこで考えたのが、「依頼主の裏切りで、どこに逃げても襲撃のあるシナリオ」です。*1
*1:今になって思うと、FASAの公式シナリオとか見てればすぐ思いつきそうなものですが
ダブルクロス・オリジン再読祭り(2)
ダブルクロス・リプレイ・オリジン 残酷な人形 (富士見ドラゴンブック)
- 作者: 矢野俊策,F.E.A.R.,しのとうこ
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2005/10/20
- メディア: 文庫
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さて、2巻。
2巻読み終わった時の最初の感想は「1巻よりさらに面白い」でした。
1巻は本当によくできたリプレイだと思った。実際周囲でもパパ(id:Hellbaby)やらBlueさん(id:blue_jmn)やら、ウルサ方*1が絶賛してたし。2巻で同クラスのシナリオネタを入れるのは難しいだろう、と思ってたりもした。
甘かった。
前回のテーマを引き継ぎ、そして広げ、さらに前より面白いものが出てきたよ。すごいよ。
GMとして一番感心したのが、1巻とほぼ同じシチュエーション設定を、これほど違った切り口で見せることができるのかー、ってこと。「同じシチュエーション」というものを、流されたのでも縛られたのでもなく、技術として使いこなしている*2。そういう意味での、2巻のシナリオメイクは出色の出来だと思う。
「同じことをする」っていうのは、大切なことなんだと思うんですよ。
だってさ、すごく表現したいネタっていうのがあるわけじゃないですか。で、そいつをさ、一回シナリオで使ったらもう同じメンツでできない、とかって困るじゃないですか。
僕の知っている、何人かのゲームマスターは、「同じことを」をやることを避けるために、シナリオ作成に意識的・無意識的に制限をかけていると思う。前に作ったのと同じシナリオになったら嫌だ、と思って、シナリオを複雑化させたり、あるいはシナリオネタが浮かんでも完成させられなかったりする*3。
オリジンの場合、キャンペーンである、ということも使って、わざと同じシチュエーションを違う切り口で見せてる。
で、それが、すごく、上手い。
ダブルクロスというシステムで、もっともやりたいことの一つを、堂々と繰り返し、それが単に面白いだけでなくて、繰り返すことに意味がある、というところにまで持っていくその手腕!
PCの立ち位置の変化や、その狙いについては後書きできっちり解説されているんで、買ってそれを読んで欲しいんだけど、前巻とで、レギュラーコンビとゲストコンビの位置がそっくり入れ替わっているのは見事としか言いようがない。これは新キャラのイサム、聖音の造形もいいんだよねぇ。
まるで同じ構図の日常描写が、立場を違えて見ることでより深い印象を与えてくれる。
そして、後半の緊迫感。1巻の時も言ったし、「シリーズ全体を通して」って言うからには3巻も4巻もそうなんだけど、でも何回でも言う。矢野は危機感の演出がすごく上手い。
2巻後半の閉塞感、緊張感。そしてヒントの出し方と、正解に辿り着くまでのPLの動き。
悩みや焦燥まで含めて、本当に面白い、TRPGのセッションを描いたリプレイだと思う。
しのさんはホントいいよねぇ。ホントいいよ。
そして、「同じ物語」だからこその、結末の違いもまた感慨深い。
……とか言ってたら4巻、で! あんな風に使われるとは! 憎い、矢野のGM力の高さが憎い……っ!!
そして、さらに2巻で好きなところ。
ボスの造形と演出。いい、いいよ。こういうの大好き。プロっぽくてさあ!
だってプロとか好き! N◎VAとか好きですし!
あとは、各話サブタイトルと、その解説。
こういうのすごく好き。
特に2話目のサブタイトル解説はね。もうこれだけで泣ける。
そんなわけで、2巻の話はここまで!
もし、まだ読んでない人がいたら、すごくうらやましい。1巻と続けて読んだ時の面白さはまた格別です。